空き巣などの侵入犯罪を防ぐ上で、最も基本的で、そして最も効果的な防犯対策の一つが「ワンドア・ツーロック」です。これは、その名の通り、「一つのドアに、二つの鍵を取り付ける」という、非常にシンプルな考え方です。なぜ、このワンドア・ツーロックが、それほどまでに絶大な効果を発揮するのでしょうか。その理由は、泥棒の「心理」と「時間」を巧みに攻めることができる点にあります。警察庁の調査によると、空き巣が侵入を諦める理由の第一位は、「声をかけられたり、見られたりしたから」ですが、それに次いで多いのが「補助錠などがあって、侵入に時間がかかりそうだったから」というものです。多くの泥棒は、人目につくリスクを極度に嫌うため、侵入に5分以上かかると判断した場合、その家をターゲットから外し、次の獲物を探しに行きます。ワンドア・ツーロックは、この「侵入に5分以上かからせる」という目的を達成するための、最も有効な手段なのです。まず、ドアに鍵が二つ付いているという「見た目」そのものが、強力な抑止力となります。泥棒は、わざわざ手間のかかりそうな家を避け、より簡単に侵入できそうな家(ワンドア・ワンロックの家)を狙います。つまり、鍵が二つあるだけで、ターゲットにされるリスクを大幅に減らすことができるのです。そして、実際にピッキングなどの手口で侵入を試みられたとしても、単純に、鍵を開ける手間と時間は二倍になります。一つ目の鍵をなんとか開けても、さらにもう一つの鍵が待ち構えている。この絶望感は、犯行を断念させるのに十分な心理的プレッシャーとなります。現在、あなたの家の鍵が一つだけなのであれば、今すぐにでも「補助錠」の増設を検討してください。工事不要で、既存のドアに後付けできるタイプも数多く販売されています。このわずかな投資が、あなたの家の防犯レベルを、劇的に向上させることになるでしょう。