私たちの住まいの安全を守る最前線である玄関の鍵。しかし、その鍵がトラブルなく動き続けるためには、実は定期的なメンテナンスが不可欠です。多くの人は、鍵が引っかかったり、回りにくくなったりといった問題が発生して初めて、その存在を意識しますが、そうなる前に簡単なケアを習慣づけることで、鍵の寿命を延ばし、突然のトラブルを未然に防ぐことができます。家庭でできる最も基本的で効果的なメンテナンスは、年に一、二回程度の清掃と潤滑です。まず、鍵穴の内部に溜まったホコリやゴミを取り除くことから始めましょう。最も手軽な方法は、掃除機の細いノズルを鍵穴に当てて、内部のゴミを吸い出すことです。これだけでも、鍵の動きに影響を与えていた微細な異物を取り除くことができます。パソコン用のエアダスターを吹き付けて、中のゴミを吹き飛ばすのも効果的です。清掃が終わったら、次に潤滑作業を行います。ここで重要なのは、絶対に使用する潤滑剤を間違えないことです。前述の通り、一般的な油性の潤滑スプレーは、ホコリを固着させてしまうため厳禁です。必ず、ホームセンターなどで販売されている「鍵穴専用」と表記された、速乾性のパウダースプレータイプの潤滑剤を使用してください。スプレーのノズルを鍵穴に軽く差し込み、ワンプッシュかツープッシュ、短く吹き付けるだけで十分です。その後、鍵を数回抜き差しして、パウダーを内部全体に行き渡らせます。これだけで、驚くほど鍵の動きが滑らかになります。また、鍵本体も定期的に清掃しましょう。使い古しの歯ブラシなどで鍵の溝を掃除し、布で乾拭きするだけでも、鍵穴に持ち込む汚れを減らすことができます。このような簡単なメンテナンスを半年に一度でも行う習慣をつければ、鍵穴内部は常にクリーンな状態に保たれ、経年劣化のスピードを緩やかにすることができます。日々の暮らしの安全を守るため、車のオイル交換と同じように、玄関の鍵にも少しだけ愛情を注いであげることが大切です。
鍵穴の定期メンテナンスでトラブルを未然に防ぐ