「暗証番号は合っているはずなのに、なぜか金庫が開かない」「久しぶりに開けようとしたら、鍵が回らない」。そんな時、多くの人はすぐにパニックに陥り、「専門業者を呼ばなければ」と結論づけてしまいがちです。しかし、高額な費用がかかる業者に依頼する前に、ご自身で試せるいくつかの簡単なセルフチェックがあります。意外なほど単純な見落としや、ちょっとしたコツで、固く閉ざされた扉が、あっさりと開くかもしれません。まず、ダイヤル式の金庫の場合、最も多いのが「操作手順の誤り」です。ダイヤル錠は、ただ番号を合わせるだけでは開きません。「最初に右へ4周以上回してリセットする」「2番目の数字は、左へ2回通過させて3回目で合わせる」といった、メーカーや機種ごとに定められた、厳格で複雑な手順が存在します。この手順を一つでも省略したり、数字を少しでも行き過ぎてしまったりすると、その時点で失敗となります。もう一度、取扱説明書を確認するか、インターネットで「(金庫のメーカー名) ダイヤル 開け方」などと検索し、正しい手順を、焦らず、一つ一つ正確になぞってみてください。次に、テンキー式の電子金庫の場合は、「電池切れ」が圧倒的に多い原因です。正しい暗証番号を押しても、電子音が鳴らなかったり、ランプが点灯しなかったりする場合は、まず電池切れを疑いましょう。多くのテンキー式金庫には、操作パネルのカバーの下や側面に、非常用の鍵穴や、外部から9Vの角形電池などを接続するための緊急用の電源端子が隠されています。まずは、そうした非常開錠のための装置がないか、金庫の周りを隈なく確認してみてください。また、鍵とダイヤル(またはテンキー)の両方で施錠するタイプの金庫の場合、どちらか一方を開けただけで、開かないと思い込んでいるケースもあります。両方のロックが、確実に解除されているかを確認しましょう。さらに、長年使っている金庫や、設置場所の床が水平でない場合、扉の重みで建付けがわずかに歪み、かんぬき(デッドボルト)に常に圧力がかかっていることがあります。この状態では、鍵が非常に回りにくくなります。扉を体重をかけて強く押したり、逆に少し手前に引いたりしながら、同時に鍵やハンドルを操作してみると、かんぬきへの圧力が一瞬抜けて、スムーズに動くことがあります。
金庫の鍵が開かない!まず試すべきセルフチェック