あれは忘れもしない、家族で少し遠くの公園へ出かけた日曜日の夕暮れでした。一日中遊び回り、さて帰ろうかと駐車場に戻り、ポケットを探った瞬間、私の心臓は氷のように冷たくなりました。あるべき場所に、車のスマートキーがないのです。上着のポケット、ズボンのポケット、カバンの隅々まで探しても、あの小さな黒い塊は見つかりません。公園の広大な敷地のどこかで落としたのか、それとも別の場所か。日が暮れていく中、家族の不安そうな顔を見て、私の焦りは頂点に達しました。とりあえずディーラーに電話をしてみましたが、営業時間はすでに終了。翌日連絡を取ると、車をレッカーで運んでからでないと作業ができず、新しいキーの取り寄せと登録には一週間以上かかり、費用は十万円近くなるかもしれないと言われ、目の前が真っ暗になりました。途方に暮れながらスマートフォンで「スマートキー 紛失」と検索し、そこで初めて出張専門の鍵屋さんの存在を知りました。半信半疑ながらも、二十四時間対応と書かれた業者に電話をかけると、電話口の担当者は私の状況を冷静に聞き取り、車種と年式からおおよその値段と到着時間を明確に提示してくれました。ディーラーの見積もりよりも数万円安く、しかも今から一時間ほどで来てくれるというのです。藁にもすがる思いで依頼すると、言葉通りにサービスカーが到着しました。作業員の方は、まず身分証で私と車の所有者情報を確認した後、特殊な工具でドアを傷一つつけずに解錠。そして、車載のコンピューターに専用の機械を接続し、何やら操作を始めました。一時間も経たないうちに「できましたよ」と手渡されたのは、真新しいスマートキーでした。エンジンが無事にかかった時の安堵感は、今でも忘れられません。その場で全作業が完了し、値段も電話で聞いた通りの金額でした。この一件以来、私は鍵の管理に細心の注意を払うようになり、そしてあの夜、絶望の淵から救ってくれた鍵屋さんの技術力と迅速な対応に、心からの感謝の念を抱き続けています。
スマートキーをなくした絶望と解決までの一部始終